イブシ って何?
先日の滋賀の研修旅行で勉強してきた報告書になります。
題して【いぶし瓦の化学】を語る
《エピソードⅠ》
写真がイブシ瓦(通称:日本瓦)
瓦の製造は至ってシンプルです。
瓦に必要な粘土を採取し → 形を作り → 乾かし → 窯で焼く
この工程を『焼成(しょうせい)』といいます。
ただ、この瓦は瓦の上の部分にオレンジ色ぽっいものが確認できます。
これは生地のオレンジ色の上に『釉薬(ゆうやく)』と、いう色を塗り焼き付けイブシ瓦と同じように見えるようにした陶器釉薬瓦です。イブシ瓦と焼成方法が少し違い今回は取り上げません。
《エピソードⅡ》
さて小学校に行き勉強したことを思い出してください。
物が燃えることを『燃焼』と、いいます。
「瓦を焼く=(燃焼)」と、いうのはものを燃やした熱を利用して、瓦の粘土を物理変化(粘土→瓦の形)・化学変化させることです。
C + 02 → C02 (二酸化炭素) これが完全燃焼
ひとつの炭素 ふたつの酸素
酸素がひとつだと 一酸化炭素 不完全燃焼
《エピソードⅢ》
焼き物を焼くのに
『酸化焔焼成(さんかえんしょうせい)』と『還元焔焼成(かんげんえんしょうせい)』
という焼き方があります。
『酸化焔焼成(さんかえんしょうせい)』
酸素がいっぱいあると残った酸素が瓦の粘土の中の中の物質と結びつきます。
(=C02 (二酸化炭素) になる以上に酸素が余る状態)
※たんぼの粘土で稲が育つように粘土にはケイ酸・マグネシウム・カリウム・水などいろんな成分が含まれています。
酸素がほかのものとくっつくことを酸化といいます。鉄とくっつけば酸化鉄となり赤い色になります。
『還元焔焼成(かんげんえんしょうせい)』
焼く中で酸素が足りないと、瓦の中にある酸素がでていってしまいます。
酸化している物から酸素をとることを還元といいます。
《エピソードⅣ》
イブシ瓦は還元焔焼成で焼かれています。
粘土の中には鉄分が入っていて焼くと鉄のため赤くなります。しかし、この焼き方は瓦に含まれている酸化鉄を抜き取る焼き方です。
だから
酸素が粘土から出ていってグレーっぽい色になるんですか
イブシ瓦のことならこのメーカーにたずねろ
↓
淡路の緑窯業
《エピソードⅤ》
そして、
瓦が硬く焼きしまったら、温度が下がるのを待ちC(炭素)をいっぱい入れます。
c c c c c c
c c c c c
c c c c c c + O(酸素)はありません
c c c c c
c c c c c c
※酸素があると燃えるため空気を遮断します。
炭素は=『すす』になり瓦にくっつきます。
瓦が熱いため『すす』(炭素)はぴったりかわらの表面に張りつきます。
イブシ瓦のできあがりです。
しかし、そのイブシも経年変化により剥がれ落ちます。
この色を「汚い」と、言われる方がいらっしゃいますが、瓦の表面にある『すす』が流れ落ちているだけで瓦が腐っている訳ではありません。
それ故、お寺の瓦は何百年も保たれているのです。
瓦は人と同じで生きてるってことの証なんですかねぇ~ (*^o^*)
『変わらない瓦』って、 だじゃれで締めです